とうこくぜんしゅうをよむ
透谷全集を読む

冒頭文

(一) 僕は透谷全集を読んで殆んど隔世の感あり。透谷の精力の或部分は実に僕を攻撃する為めに費されたるものなりしことは僕の今にして慙愧(ざんき)に堪(た)へざる所なり。勿論私交の上に於ては僕は透谷の友人と称すべき一人たりしことを要請する権利ありと信ず。然れども透谷は友人たるが為めに異論者を用捨するが如き漢子(をとこ)にはあらざりき。否、友人たるが為めに故(ことさ)らに弁難攻撃を試みたるものなら

文字遣い

新字旧仮名

初出

「信濃毎日新聞」1902(明治35)年10月11日、13日

底本

  • 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
  • 筑摩書房
  • 1974(昭和44)年6月5日