じっこうてきどうとく
実行的道徳

冒頭文

人は地に生れたるものにして、天を家とするものならず、人生は社会周辺の事実に囲まれてあるものなれば、性行を経綸すべき倫理なるもの一日も無かるべからざるなり。社会は時辰機(とけい)の如し、一部分の破損は以て全躰の破損となり、遂には運行を止(とゞ)むるに至るべし。之を以て孰(いづ)れの邦国にも孰れの社会にも必らず何等かの倫理あるなり。近頃実際的道徳の要を知りはじめたる、我日本は、此際深く自ら省みざるべか

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
  • 筑摩書房
  • 1974(昭和44)年6月5日