あしのうら
足の裏

冒頭文

一 さて、私がいまお話ししようというお話の主人公は、景岡秀三郎——という景岡浴場の主人なのですが、その人の色々変ったお話と、それに関連して探偵小説的な一つのトリックといったようなものを御紹介しようと思うのです。 浴場の主人——などというと如何にも年輩の、シッカリした男を連想しますけど、景岡は私立大学を出たばかりの、まだ三十には二三年間(ま)のある青年でした。大学を出たばかりの青年が

文字遣い

新字新仮名

初出

「探偵文学」探偵文学社、1935(昭和10)年3月号

底本

  • 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2003(平成15)年6月10日