ふたおもてくらべぼたん
両面競牡丹

冒頭文

奈良坂やさゆり姫百合にりん咲き          ——常磐津(ときわず)『両面月姿絵(ふたおもてつきのすがたえ)』 一 港の街とは申しますものの、あの辺りは、昔から代々うち続いた旧家(きゅうか)が軒をならべた、静かな一角でございまして、ご商売屋さんと申しますれば、三河屋(みかわや)さんとか、駒屋(こまや)さん、さては、井筒屋(いづつや)さんというような、表看板はごく、ひっそりと、格子戸の奥で商売

文字遣い

新字新仮名

初出

「ぷろふいる」ぷろふいる社、1936(昭和11)年12月号

底本

  • 幻の探偵雑誌1 「ぷろふいる」傑作選
  • 光文社文庫、光文社
  • 2000(平成12)年3月20日