だいぼさつとうげ 37 おそれざんのまき
大菩薩峠 37 恐山の巻

冒頭文

一 田山白雲は北上川の渡頭(わたしば)に立って、渡し舟の出るのを待兼ねている。 舟の出発を待侘(まちわ)びるものは田山白雲一人ではなく、士農工商が一人二人と渡頭へ集まってひっかかる。こちらの岸もそうだから、向うの岸も同様に、土農工商がせき留められて、舟を待つ人の数は増すばかりです。 田山白雲は焦(じれ)ったがりながら、渡頭に近い高さ三メートルばかりの小丘の上で、遠眼鏡を眼

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 大菩薩峠17
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年8月22日