くめまさおしのこと
久米正雄氏の事

冒頭文

久米は官能の鋭敏な田舎者です。 書くものばかりじゃありません。実生活上の趣味でも田舎者らしい所は沢山あります。それでいて官能だけは、好い加減な都会人より遥に鋭敏に出来上っています。嘘だと思ったら、久米の作品を読んでごらんなさい。色彩とか空気とか云うものは、如何にも鮮明に如何にも清新に描けています。この点だけ切り離して云えば、現在の文壇で幾人も久米の右へ出るものはないでしょう。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 現代日本のエッセイ 大川の水/追憶/本所両国 芥川竜之介
  • 講談社
  • 1995(平成7)年1月10日