「きくちかんぜんしゅう」のじょ
「菊池寛全集」の序

冒頭文

スタンダアルとメリメとを比較した場合、スタンダアルはメリメよりも偉大であるが、メリメよりも芸術家ではないと云う。云う心はメリメよりも、一つ一つの作品に渾成の趣を与えなかった、或は与える才能に乏しかった、と云う事実を指したのであろう。この意味では菊池寛も、文壇の二三子と比較した場合、必しも卓越した芸術家ではない。たとえば彼の作品中、絵画的効果を収むべき描写は、屡、破綻を来しているようである。こう云う

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 1995(平成7)年1月10日