ぶしゅうこうひわ 02 ばつ
武州公秘話 02 跋

冒頭文

「蓼(たで)喰(く)う蟲(むし)」以後の谷崎君の作品は、残りなく通読しているつもりでいたが、この「武州公秘話」だけにはまだ目を触れていないのであった。谷崎好みの題材を谷崎式手法で活写しているだけで、この怪異な物語に私は驚かされはしなかったが、この老作家の老熟した近作中でも、筆が著しく緊縮していることが特に感ぜられた。のんびりしたところが皆無で窮屈そうである。似寄った変型愛慾の描写にしても、青年期の

文字遣い

新字新仮名

初出

「武州公秘話」中央公論社、1935(昭和10)年

底本

  • 武州公秘話
  • 中公文庫、中央公論社
  • 1984(昭和59)年7月10日