めいじびじんでん
明治美人伝

冒頭文

一 空の麗(うるわ)しさ、地の美しさ、万象の妙(たえ)なる中に、あまりにいみじき人間美は永遠を誓えぬだけに、脆(もろ)き命に激(はげ)しき情熱の魂をこめて、たとえしもない刹那(せつな)の美を感じさせる。 美は一切の道徳(どうとく)規矩(きく)を超越して、ひとり誇(ほこ)らかに生きる力を許されている。古来美女たちのその実際生活が、当時の人々からいかに罪され、蔑(さげ)すまれ、下(おと

文字遣い

新字新仮名

初出

「解放 明治文化の研究特別号」1921(大正10)年10月

底本

  • 新編 近代美人伝 (上)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1985(昭和60)年11月18日