わらわのはんせいがい |
妾の半生涯 |
冒頭文
はしがき 昔はベンジャミン・フランクリン、自序伝をものして、その子孫の戒(いまし)めとなせり。操行に高潔にして、業務に勤勉なるこの人の如きは、真(まこと)に尊き亀鑑(きかん)を後世に遺(のこ)せしものとこそ言うべけれ。妾(しょう)の如き、如何(いか)に心の驕(おご)れることありとも、いかで得て企(くわだ)つべしと言わんや。 世に罪深き人を問わば、妾は実にその随一ならん、世に愚鈍(お
文字遣い
新字新仮名
初出
「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日
底本
- 妾の半生涯
- 岩波文庫、岩波書店
- 1958(昭和33)年4月25日