金を売る 一 七月、もうすっかり夏であるべきはずだのに、この三日ばかり、日の目も見せず、時々降る雨に、肌寒いような涼しさである。 今も、小雨が降っている。だが空はうす白く、間もなく雨も降り止みそうな光が、ただよっている。 新子は、ぼんやり二階の居間から、外を眺めている。 路次の水たまり、黒い小猫がぴょんぴょんと水溜(みずたまり)をさけて、隣の生垣の下をくぐった。茶色の雨マントを着た