こうとくしゅうすいとぼく ――はんぎゃくじのなやみをかたる――
幸徳秋水と僕 ――反逆児の悩みを語る――

冒頭文

一 君よ。明治三十四年、僕が始めて社会党の創立に関係した時、安部磯雄、片山潜の二君は、年齢においても学識においても、長者として尊敬して居たが、親密な友情を有つて居たのは、幸徳秋水であつた。彼は僕より二つ年下であつた。幸徳を友人にしてくれたのは石川半山だ。 僕がまだ二十代で、故郷で弁護士をして居た時、石川は土地の新聞主筆として招かれて来た。彼が好んで自分の師友の評判をする時、「幸徳秋

文字遣い

新字旧仮名

初出

「朝日新聞」1933(昭和8)4月15~20日

底本

  • 近代日本思想大系10 木下尚江集
  • 筑摩書房
  • 1975(昭和50)年7月20日