かつらりきゅう
桂離宮

冒頭文

障子の影 桂離宮の書院から庭に面して、折れまがりに小さい三つの部屋が、一ノ間・二ノ間・三ノ間とつづいてゐる。 その一ノ間の障子に、折からの小春の西日があかるくさしてゐた。 障子は、左右が半間(げん)づつの板戸に仕切られ、腰板のないのが二枚、つつましやかに、ものしづかに並んで、晝間もほのぐらさのただよつてゐる部屋の中へ無遠慮に押し入らうとする強烈な日光を、方六尺の白紙で遮り

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 草衣集
  • 相模書房
  • 1938(昭和13)年6月13日