せつれいきじ
雪霊記事

冒頭文

一 「このくらいな事が……何の……小児(こども)のうち歌留多(かるた)を取りに行ったと思えば——」 越前(えちぜん)の府、武生(たけふ)の、侘(わび)しい旅宿(やど)の、雪に埋れた軒を離れて、二町ばかりも進んだ時、吹雪に行悩みながら、私は——そう思いました。 思いつつ推切(おしき)って行(ゆ)くのであります。 私はここから四十里余り隔たった、おなじ雪深い国に生れたので、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成7
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1995(平成7)年12月4日