だいぼさつとうげ 27 れいぼのまき |
| 大菩薩峠 27 鈴慕の巻 |
冒頭文
一 天井の高い、ガランとした田舎家(いなかや)の、大きな炉の傍(はた)に、寂然(じゃくねん)として座を占めているのが弁信法師であります。 時は夜であります。 弁信の坐っている後ろには、六枚屏風(びょうぶ)の煤(すす)けたのがあって、その左に角行燈(かくあんどん)がありますけれど、それには火が入っておりません。 自在鉤(じざいかぎ)には籠目形(かごめがた)の鉄瓶がずっしりと重く、その下で
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 大菩薩峠11
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1996(平成8)年5月23日