たけのきど
竹の木戸

冒頭文

上 大庭(おおば)真蔵という会社員は東京郊外に住んで京橋区辺の事務所に通っていたが、電車の停留所まで半里(はんみち)以上もあるのを、毎朝欠かさずテクテク歩いて運動にはちょうど可(い)いと言っていた。温厚(おとな)しい性質だから会社でも受が可(よ)かった。 家族は六十七八になる極く丈夫な老母、二十九になる細君、細君の妹のお清(きよ)、七歳(ななつ)になる娘の礼ちゃんこれに五六年前から

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 牛肉と馬鈴薯・酒中日記
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1970(昭和45)年5月30日