ねむるもりのおひめさま
眠る森のお姫さま

冒頭文

一 むかしむかし、王様とお妃がありました。おふたりは、こどものないことを、なにより悲しがっておいでになりました。それは、どんなに悲しがっていたでしょうか、とても口ではいいつくせないほどでした。そのために、世界じゅうの海という海を渡って、神様を願(がん)をかけるやら、お寺に巡礼(じゅんれい)をするやらで、いろいろに信心(しんじん)をささげてみましたが、みんな、それはむだでした。 でも

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界おとぎ文庫(イギリス・フランス童話篇)妖女のおくりもの
  • 小峰書店
  • 1950(昭和25)年5月1日