ばんすいぼうだん「じじょ」
晩翠放談「自序」

冒頭文

「宮城野の本荒の小萩露を重み風を待つごと君をこそ待て」(古今集戀の部よみ人知らず)此昔の名所本荒の郷が今日仙臺市本荒町のある處其二十一番地が私の本邸であつたが、若干の貸家と共に二十年(一九四五)七月十日の爆撃で灰燼となつた。今は一友人の厚意に因り其所有の借舍、青葉山に對し廣瀬川に臨む花壇川前町に鷦鷯一枝の安を得つゝある。其陋居に一月二十八日河北新報社の村上辰雄君が來訪、「晩翠放談」を刊行しようとの

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 晩翠放談
  • 河北新報社
  • 1948(昭和23)年8月5日