レンブラントのくに
レンブラントの国

冒頭文

一 オランダには三日半きりいなかったけれども、小さな国だから、毎日車で乗り廻して、それでも見たいと思っていたものはあらかた見てしまった。 五月一日(一九三九年)の昧爽、フーク・ファン・ホランドに上陸した時の第一印象は、いかにも物静かな、どことなく田舎くさい、いやに平ったい国だという感じだった。前の晩おそく、雨の中をハリッジを出帆して、百五十マイルの航程を七時間、北海の波に揉まれて、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界紀行文学全集 第八巻 ドイツ、オーストリア、オランダ、ベルギー編
  • 修道社
  • 1960(昭和35)年7月20日