とうぎゅう
闘牛

冒頭文

一 エスパーニャに来て闘牛を見ないで帰るのは心残りのような気がしていた。しかし見るまでは、生き物を殺すのを見て楽しむということがひどく残酷に考えられ、それに対する反感もあって、見なくともよいというような心持もあった。その反感は、私よりも弥生子の方が強く、彼女は闘牛を見たいという好奇心は全然持ってないようだった。私の方はそうではなく、見たくもあるがいやな気がしはしないかという不安で躊躇していた

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界紀行文学全集 第四巻 イギリス、スペイン、ポルトガル編
  • 修道社
  • 1959(昭和34)年11月20日