エトナ
エトナ

冒頭文

一 イタリアとシチリアの海岸は、どこへ行っても、南国らしい澄み透った空と紺碧の海があって、強烈な陽光が燦々と降り濺(そそ)ぎ、その下に骨ばった火山系の山彙が変化の多い形貌で展開し、古い石造の家屋が密集したり、散在したりして、橄欖・扁桃・柘榴・ぬるで・いちじく等の果樹、或いは赤松・糸杉などの樹林が点綴し、葡萄が茂り草花が咲き出て、自然の装飾の濫費を感ぜしめられるが、その中でも最も強い印象を与え

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界紀行文学全集 第六巻 イタリア、スイス編
  • 修道社
  • 1959(昭和34)年10月20日