ゆきのひ
雪の日

冒頭文

伯林(ベルリン)カイザー街の古い大アパートに棲んで居た冬のことです。外には雪が降りに降っていました。内では天井に大煙突の抜けているストーヴでどんどん薪をくべていました。電車の地響と自動車の笛の音ばかりで、街には犬も声を立てて居ない、積雪に静まり返った真昼時でした。玄関の扉(ドア)をはげしく叩く音——この降るのに誰がまあ、」と思いながら扉を開くと、どやどやと三人ばかり入って来たのは青年、壮年、老年を

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界紀行文学全集 第七巻 ドイツ編
  • 修道社
  • 1959(昭和34)年8月20日