とううとうひょう
凍雨と雨氷

冒頭文

大気中の水蒸気が凍結して液体または固体となって地上に降るものを総称して降水と言う。その中でも水蒸気が地上の物体に接触して生ずる露と霜と木花(きばな)と、氷点下に過冷却された霧の滴(しずく)が地物に触れて生ずる樹氷または「花ボロ」を除けば、あとは皆地上数百ないし数千メートルの高所から降下するものである。その中でも雨と雪は最も普通なものであるが、雹(ひょう)や霰(あられ)もさほど珍しくはない。霙(みぞ

文字遣い

新字新仮名

初出

「東京朝日新聞」1921(大正10)年2月11日

底本

  • 寺田寅彦全集 第六巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年5月6日