だいぼさつとうげしばいばなし |
大菩薩峠芝居話 |
冒頭文
帝劇に上演された大菩薩峠、あれは芝居ではない、仕方話の手見世だ、芝居として見るのなら、行友李風氏の脚色で澤田正二郎君がやつた方が遙かに大菩薩峠の悌を出し、且机龍之助の姿を見せてくれている。 七幕十四場、ずつと通して見て筋が通る通らないという人もあるようだが、それはいう方が間違つている。大菩薩峠という長い〳〵もの語りの中の要所々々を、草双紙の口繪でも見せるように並べて見せて、小説でおなじみ
文字遣い
旧字旧仮名
初出
底本
- 文藝 臨時増刊 中里介山大菩薩峠読本
- 河出書房
- 1956(昭和31)年4月6日