こんどういさみとかがく
近藤勇と科学

冒頭文

上篇ノ一 すぐ前に居た一人が突(つん)のめされたように、たたっと、よろめいて、双手で頭を抱えると、倒れてしまった。 「伏(ふ)せっ、伏せっ、伏せっ」 土方(ひじかた)は、つづけざまに、こう怒鳴(どな)って、大地(だいち)へ伏してしまった。 「畜生、やられた」 土方の頭の上で、人間の声というよりも、死神の叫びのような絶叫をしたので、振向くと、口から血の泡を流しながら渋沢

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋増刊・オール讀物号」1930(昭和5)年7月

底本

  • 新選組興亡録
  • 角川文庫、角川書店
  • 2003(平成15)年10月25日