せいぜんしんごのこと
生前身後の事

冒頭文

小生も本年数え年五十になった、少年時代には四十五十といえばもうとてもおじいさんのように思われたが、自分が経来って見るとその時分の子供心と大した変らない、ちっとも年をとった気にはなれない、故人の詩などを見ると四十五十になってそろそろ悲観しかけた調子が随分現われて来るけれども、余はちっとも自分では老いたりという気がしないのみならず、それからそれへと仕事が出て来てどうしてどうしてこれからが本当の仕事では

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中里介山全集第二十巻
  • 筑摩書房
  • 1972(昭和47)年7月30日