「とうげ」というじ
「峠」という字

冒頭文

「峠」という字は日本の国字である。日本にも神代から独得の日本文字があったということだが、それは史的確証が無い、人文史上日本の文字は、支那から伝えられたものであって、普通それを漢字と云っているが、日本で創製した文字もある、片仮名や平仮名はそれであって、寧ろ国字といえば、この仮名文字こそ国字であるが、普通に国字といえば、仮名を称せずして、日本製の漢字を謂(い)うのである。 この日本製の漢字が、新

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中里介山全集第二十巻
  • 筑摩書房
  • 1972(昭和47)年7月30日