あきまろにこたう
あきまろに答ふ

冒頭文

「も」の字につきて質問に御答申候。「も」の字は元来理窟的の言葉にて、俳句などにては「も」の字の有無(うむ)を以て月並的俗句なるか否かを判ずる事さへある位に候へども、さりとて「も」の字尽(ことごと)く理窟なるにも無之候。拙作に対する質問に答へんは弁護がましく聞えて心苦しき限りながら、議論は議論にて巧拙の評にあらねば愚意試(こころみ)に可申述(もうしのぶべく)候。 「も」の字にも種類ありて「桜の影を

文字遣い

新字旧仮名

初出

「日本」1898(明治31)年3月6日

底本

  • 歌よみに与ふる書
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1955(昭和30)年2月25日、1983(昭和58)年3月16日第8刷改版