かちょうせいど
家長制度

冒頭文

火皿(ひざら)は油煙をふりみだし、炉の向ふにはここの主人が、大黒柱を二きれみじかく切って投げたといふふうにどっしりがたりと膝(ひざ)をそろへて座ってゐる。 その息子らがさっき音なく外の闇(やみ)から帰ってきた。肩はばひろくけらを着て、汗ですっかり寒天みたいに黒びかりする四匹か五匹の巨(おほ)きな馬をがらんとくらい厩(うまや)のなかへ引いて入れ、なにかいろいろまじなひみたいなことをしたのち

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 宮沢賢治全集8
  • 筑摩書房
  • 1986(昭和61年)1月28日