ささいなじけん
些細な事件

冒頭文

わたしは在所から都の中に飛込んで来て、ちょっとまばたきしたばかりでもう六年経ってしまった。その間、耳にもし眼にも見たいわゆる国家の大事というものは、勘定してみるとずいぶん少くないが、わたしの心の中には何の跡方(あとかた)も残らない。もしその事について影響を説けと言ったら、ただわたしの悪い癖を増長させるだけのことだ。——実を言えば、これがわたしをして日に日に見るに足らない人間ならしめているのだ。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 魯迅全集
  • 改造社
  • 1932(昭和7)年11月18日