トロッコ
トロッコ

冒頭文

小田原熱海(あたみ)間に、軽便鉄道敷設(ふせつ)の工事が始まったのは、良平(りょうへい)の八つの年だった。良平は毎日村外(はず)れへ、その工事を見物に行った。工事を——といったところが、唯(ただ)トロッコで土を運搬する——それが面白さに見に行ったのである。 トロッコの上には土工が二人、土を積んだ後(うしろ)に佇(たたず)んでいる。トロッコは山を下(くだ)るのだから、人手を借りずに走って来

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 蜘蛛の糸・杜子春
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1968(昭和43)年11月15日、1984(昭和59)年12月25日38刷改版