きゅうりゅうちゅう
九龍虫

冒頭文

いつだったか歯をわるくしてお医者さんに行ったところ、そのお医者さんは見たところそれほど丈夫そうにもないのに、毎日のおびただしい患者を扱って少しも疲労を感じないと言う。 「何か秘訣でも?」 と訊ねると、 「大いにありますよ」 そう言ってお医者さんは南京虫のようなものがうじゃうじゃうごめいている小さな箱をみせてくれた。 九龍虫という虫で、なかなか精力のつく薬虫だとその

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日