パリのどくりつさい
巴里の独立祭

冒頭文

七月十三日の晩、自分は獨立祭の宵祭の街の賑はひを見て歸つて、子供の時、お祭の前の夜の嬉しかつたのと殆ど同じほどの思ひで、明日着て出る服や帽を長椅子の上に揃へて寢た。夜中に二三度雨が降つて居ないかと聞耳を立てもした。けれど、それは日本の習慣が自分にあるからで、高い處に寢て居る身には、雨が地を打つ音などは聞えやうが無い。マロニエの梢を渡る風がそれかと思はれるやうな事がままあるくらゐである。そんなに思つ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 定本 與謝野晶子全集 第二十卷 評論感想集七
  • 講談社
  • 1981(昭和56)年4月10日