パリのりょそうより
巴里の旅窓より

冒頭文

汽車で露西亞や獨逸を過ぎて巴里へ來ると、先づ目に着くのは佛蘭西の男も女もきやしやな體をして其姿の意氣(いき)な事である。勿論一人一人を仔細に觀るなら各〻の身分や趣味が異ふ儘に優劣はあらうが、概して瀟洒(あつさり)と都雅(みやび)であることは他國人の及ぶ所で無からう。佛蘭西の女と云へば、其れが餘りに容易く目に附くので、どの珈琲店にも、どの酒場にも、どの路上にも徘徊する多數の遊女が代表して居る樣に一寸

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 定本 與謝野晶子全集 第二十卷 評論感想集七
  • 講談社
  • 1981(昭和56)年4月10日