さくおとこ・ゴーのめいよ |
作男・ゴーの名誉 |
冒頭文
一 嵐吹く銀緑色の夕方、灰色のスコッチ縞の着衣につつまれた師父(しふ)ブラウンは、灰色のスコットランドのある谷間の涯(はて)に来た、そして奇妙なグレンジル城を仰ぎ見た。城はその窪地の一方の端を袋町のように塞いでいた、それがまた世界の涯のように見えた。嶮(けわ)しい屋根や海緑色の石盤瓦茸小塔(せきばんかわらぶきことう)の聳(そび)え具合が仏蘭西(フランス)蘇格蘭(スコットランド)折衷式(せっち
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 世界探偵小説全集 第九卷 ブラウン奇譚
- 平凡社
- 1930(昭和5)年3月10日