「声がしない。——小さいのがどうかしたんだな」 赤鼻の老拱(ろうきょう)は老酒(ラオチュ)の碗を手に取って、そういいながら顔を隣の方に向けて唇を尖らせた。 藍皮阿五(らんひあご)は酒碗を下に置き、平手で老拱の脊骨をいやというほどドヤシつけ、何か意味ありげのことをがやがや喋舌(しゃべ)って 「手前は、手前は、……また何か想い出してやがる……」 片田舎の魯鎮(ろちん)はまだなかなか昔風で、どこで