サファイヤのじゅうじか
青玉の十字架

冒頭文

朝の空を彩る銀色のリボンと、同じように海上を飾る緑色のリボンとの中を、船は進んで、ハーウィッチの港に着いた。すると、人々は蝿の群でもあるかのように、ちりぢりに各々目ざす方へと散って行った。その中に、今我々が語ろうとする男は、別に特別に注意を惹くものではなかったし——というよりも、注意を惹かれまいとしているのだった。彼の身のまわりには、祭りの日のような陽気さの中に、顔に浮んだ役人じみたもっともらしさ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界探偵小説全集 第九卷 ブラウン奇譚
  • 平凡社
  • 1930(昭和5)年3月10日