ひみつのにわ
秘密の庭

冒頭文

一 巴里(パリー)の警視総監であるアリステード・ヴァランタンは晩餐におくれた。そして来客達はもう彼より先きに来はじめていた。それで忠実な執事のイワンがお相手をしていた。イワンは顔に刀傷(かたなきず)の痕のある、そして灰色の口髭と色別(いろわけ)のつかないような顔色をした老人で、いつも玄関のテーブルに——そこには武器類がかかっている——に控えている。この家は主人のヴァランタンと同様に風変りで有

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 世界探偵小説全集 第九卷 ブラウン奇譚
  • 平凡社
  • 1930(昭和5)年3月10日