みみなしほういちのはなし
耳無芳一の話

冒頭文

七百年以上も昔の事、下ノ関海峡の壇ノ浦で、平家すなわち平族と、源氏すなわち源族との間の、永い争いの最後の戦闘が戦われた。この壇ノ浦で平家は、その一族の婦人子供ならびにその幼帝——今日安徳天皇として記憶されている——と共に、まったく滅亡した。そうしてその海と浜辺とは七百年間その怨霊に祟られていた……他の個処で私はそこに居る平家蟹という不思議な蟹の事を読者諸君に語った事があるが、それはその背中が人間の

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 小泉八雲全集第八卷家庭版
  • 第一書房
  • 1937(昭和12)年1月15日