ほうむられたるひみつ
葬られたる秘密

冒頭文

むかし丹波の国に稻村屋源助という金持ちの商人が住んでいた。この人にお園という一人の娘があった。お園は非常に怜悧で、また美人であったので、源助は田舎の先生の教育だけで育てる事を遺憾に思い、信用のある従者をつけて娘を京都にやり、都の婦人達の受ける上品な芸事を修業させるようにした。こうして教育を受けて後、お園は父の一族の知人——ながらやと云う商人に嫁(かたづ)けられ、ほとんど四年の間その男と楽しく暮した

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 小泉八雲全集第八卷家庭版
  • 第一書房
  • 1937(昭和12)年1月15日