いえなきこ 02 (げ)
家なき子 02 (下)

冒頭文

ジャンチイイの石切り場 わたしたちはやがて人通りの多い往来(おうらい)へ出たが、歩いているあいだ親方はひと言も言わなかった。まもなくあるせまい小路(こうじ)へはいると、かれは往来の捨(す)て石(いし)にこしをかけて、たびたび額(ひたい)を手でなで上げた。それは困(こま)ったときによくかれのするくせであった。 「いよいよ慈善家(じぜんか)の世話になるほうがよさそうだな」とかれは独(ひと)

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 家なき子(下)
  • 春陽堂少年少女文庫、春陽堂
  • 1978(昭和53)年1月30日