ろんごものがたり
論語物語

冒頭文

序文 論語は「天の書」であると共に「地の書」である。孔子は一生こつこつと地上を歩きながら、天の言葉を語るようになった人である。天の言葉は語ったが、彼には神秘もなければ、奇蹟もなかった。いわば、地の声をもって天の言葉を語った人なのである。 彼の門人達も、彼にならって天の言葉を語ろうとした。しかし彼等の多くは結局地の言葉しか語ることが出来なかった。中には天の響を以て地の言葉を語ろうとする虚偽をす

文字遣い

新字新仮名

初出

「現代」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年

底本

  • 下村湖人全集 第五巻
  • 池田書店
  • 1965(昭和40)年5月15日