さかぐちりゅうのしょうぎかん |
| 坂口流の将棋観 |
冒頭文
私は将棋は知らない。けれども棋書や解説書や棋士の言葉などから私流に判断して、日本には将棋はあったが、まだ本当の将棋の勝負がなかったのじゃないかと思う。 勝負の鬼と云われた木村前名人でも、実際はまだ将棋であって、勝負じゃない。そして、はじめて本当の勝負というものをやりだしたのが升田八段と私は思う。升田八段は型だの定跡を放念して、常にたゞ、相手が一手さす、その一手だけが相手で、その一手に対して自分
文字遣い
新字新仮名
初出
「神港夕刊新聞」「九州タイムズ」発表年月日未詳
底本
- 坂口安吾全集 06
- 筑摩書房
- 1998(平成10)年5月22日