さとうはるおし
佐藤春夫氏

冒頭文

佐藤春夫は不幸にも常に僕を誤解してゐる。僕の「有島生馬君に与ふ」を書いた時、佐藤は僕にかう云つた。「君はいつもああ云ふ風にもの云へば好いのだ。あれは旗幟鮮明(きしせんめい)で好い。」僕はいつも旗幟鮮明である。まだ一度も莫迦(ばか)だと思ふ君子に、聡なるかな、明なるかななどと云つたことはない。唯莫迦だと云はないだけである。それを旗幟不鮮明のやうに思ふのは佐藤の誤解と云はなければならぬ。 又

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 芥川龍之介全集 第十一巻
  • 岩波書店
  • 1996(平成8)年9月9日発行