りょうしのぼうけん
漁師の冒険

冒頭文

いつの頃(ころ)でしたか、九州の果の或(ある)海岸に、仙蔵(せんざう)と次郎作(じろさく)といふ二人の漁師がをりました。 或日二人はいつものとほり小さな舟にのつて沖へ漁に出ますと大風が吹いて、とほくへ流されました。けれども運よく舟も沈まず、怪我(けが)もしないで、とある島へ流れつきました。二人はお腹(なか)がすいてゐるものですから、早く人家のあるところへ出て、御飯をたべさして貰(もら)は

文字遣い

新字旧仮名

初出

「赤い鳥」1920(大正9)年11月

底本

  • 日本児童文学大系 第一一巻 楠山正雄 沖野岩三郎 宮原晃一郎集
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日