にじねこのおおおんなたいじ
虹猫の大女退治

冒頭文

木精(こだま)の国をたつて行つた虹猫(にじねこ)は、しばらく旅行をしてゐるうち、ユタカの国といふ大へん美しい国につきました。 こゝはふしぎな国でした。大きな森もあれば、えもいはれぬ色や匂(にほ)ひのする花の一ぱいに生えた大きな〳〵野原もありました。空はいつも青々とすみわたつて、その国に住まつてゐる人たちはいつも何の不平もなささうに、にこ〳〵してゐます。でも、たつた一つのことが気にかゝつて

文字遣い

新字旧仮名

初出

「赤い鳥」1927(昭和2)年9月

底本

  • 日本児童文学大系 第一一巻 楠山正雄 沖野岩三郎 宮原晃一郎集
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日