にじねことこだま
虹猫と木精

冒頭文

第一回の旅行をすまして、お家(うち)へ帰つた虹猫(にじねこ)は、第二回の旅行にかゝりました。 或日(あるひ)、れいのとほり、仕度をして、ぶらりと家(うち)を出て、どことはなしに、やつて行きますと、とうとう木精(こだま)の国に来てしまひました。木精といふやつは面白い、愉快な妖精(えうせい)で、人に害をするやうなこともなく、たゞ鳥のやうに木にすまつてゐるのです。けれども鳥とちがつて、飛ぶこと

文字遣い

新字旧仮名

初出

「赤い鳥」1927(昭和2)年3月

底本

  • 日本児童文学大系 第一一巻 楠山正雄 沖野岩三郎 宮原晃一郎集
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日