ばいかにたいするかんじょう このジャアナリズムのいっぺんをきんげんなるにしかわえいじろうくんにけんず
梅花に対する感情 このジャアナリズムの一篇を謹厳なる西川英次郎君に献ず

冒頭文

予等は芸術の士なるが故に、如実に万象を観ざる可らず。少くとも万人の眼光を借らず、予等の眼光を以て見ざる可らず。古来偉大なる芸術の士は皆この独自の眼光を有し、おのづから独自の表現を成せり。ゴッホの向日葵の写真版の今日もなほ愛翫せらるる、豈偶然の結果ならんや。(幸ひに GOGH をゴッホと呼ぶ発音の誤りを咎むること勿れ。予は ANDERSEN をアナアセンと呼ばず、アンデルゼンと呼ぶを恥ぢざるものなり

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 芥川龍之介全集 第十巻
  • 岩波書店
  • 1996(平成8)年8月8日発行