しなのかんがん
支那の宦官

冒頭文

一 最近の新聞紙の報道によると、支那の宣統前帝は、宮廷所屬の宦官の不埒を怒り、彼等を一律に放逐して、爾後永遠に使役せぬといふ諭旨を發布されたといふことである。その動機は論ぜず、その理由は問はず、事件そのものが、兔に角一大壯擧たるを失はぬと思ふ。 宦官は必ずしも支那の專有物でない。古代の西アジア諸國、ついでギリシア、ローマにも宦官が使役された。マホメット教國では、一般に宦官を使用した

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「大阪毎日新聞」1913(大正12)年8月3~5日、7日

底本

  • 桑原隲藏全集 第一卷 東洋史説苑
  • 岩波書店
  • 1968(昭和43)年2月13日