ざいがくりゆう
在学理由

冒頭文

一 某私立大学の法学部で植民政策の講義を担任してる矢杉は、或る時、その学校で発行されてる大学新聞の座談会に出席したが、座談会も終り、暫く雑談が続き、もう散会という間際になって、まだ嘗て受けたことのない質問を一人の学生から提出された。植民地に於ける言語というようなことが話題になってた後であるが言語から文章へとんで、現在日本の新聞や雑誌に掲載されてる多くの文章のなかで、句読点、即ちマルやテンが、

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本評論」1938(昭和13)年12月

底本

  • 豊島与志雄著作集 第四巻(小説4)
  • 未来社
  • 1965(昭和40)年6月25日